先週末、予定がなくなり暇になった時に読みあさっていた手塚治虫氏の作品。ブラック・ジャックが発表される3年前の医療漫画です。
すごい表紙・・・・
ブラック・ジャックと決定的に違うことは、とにかく暗い。
ブラック・ジャックが『困難や絶望の中に、一筋の希望の光が射すお話』だとすれば、きりひと讃歌は『絶望の中、業を背負い、それでも生きていくお話』。主人公の名前『桐人(きりひと)』がキリストっぽいだけあります。
手塚氏お得意のこんなギャグが一切ないんです
ストーリは、人が犬のようになって死んでしまう『モンモウ病』の研究者である小山内桐人が罹患してしまうことから始まるわけですが、「人間はなぜ人間なのか?外見や肌の色によって決まるのか?いや、人間が人間たる理由は、外見ではなく行動と理念にある」といったメッセージが見えてきます。
白い巨塔のような医局の権力争い(舞台は同じ大阪大学医学部)や、アパルトヘイトなどの人種差別にも触れており、読み応えありあり。作画は非常に重たく鬼気迫るものがあり、執筆当時の手塚氏の精神状態が伺えます。なので、読み切るにはちょいと気力がいります。
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